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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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RENT (2008日本版) 11月12日 (2)

~This article contains spoiler!!~
演出ですが・・。
舞台の使い方というか、ステージングがあまり上手ではなかったように感じた。
悪い意味で観客の視線が分散してしまうような場面や、無駄に動線が長いなあと感じる場面が。そして、なんだか細かいところに神経が行き届いていないような・・という部分が散見。
中途半端に映画版を意識したと思われる部分も、なんだかなあ・・・という感じでした。


思いつくままに挙げていきますが・・。
Tango: Maureen、JoanneとMarkが舞台の前方でMichael Greif版と同じようなことを繰り広げていますが、舞台後方の階段に赤いドレスのMaureenが登場して、男性アンサンブルとじゃれながら階段を下りていました。おそらく、映画版のTango: Maureenのシーンを意識しての演出なんでしょうが、視線が分散してしまうので、これはあんまり良い演出じゃないように感じました。せっかくのJoanneとMarkの面白いやりとり・駆け引きから観客の注意がそがれてしまう。
もっともっと小さい舞台なら、MaureenとJoanne&Markが同時に視界に入るのかもしれませんが、今回の舞台では舞台奥の階段は舞台前方からずいぶん遠いところにある感じなんですよね。
また、ここでMaureenが姿を見せてしまうので、Christmas Bellsの最後でのMaureenの登場のインパクトが薄れちゃうように思いました。

マークとロジャーの部屋、天窓付きの部屋のセット(可動式)が舞台やや右より(客席から見て)にあるんですが、これも微妙ですね。これもおそらく映画版を意識してのセットデザインなのかと思いますが(もしくはラ・ボエームへのオマージュ?)、このセットのおかげで動線が無駄に長くなっているような場面があったように思う。
ロジャーだかマークだかがセット上にいる状態でセットを回転させる感じで移動させていた場面は、動きがあって面白かったが、それ以外は特にこのセットが有効に使われているとは思えず。
天窓から人が出入りする場面が結構あったと思いますが、なんだかこれもあまりサマになっていなかった。
Out Tonightの最後、 Mimiがほんとに最後の最後の" Tonight"!という歌詞のところで天窓からロジャーの部屋に入ってきました。これも映画版を意識してのことなのでしょうが・・。
これ、舞台の場合はGreif版のように、もうちょっと前からロジャーの目の前にミミがいて迫っているような演出のほうがいいと思う。じゃないと、かなり唐突な印象です。特に、ロジャーの反応が不自然というか唐突になってしまうと思うんですが。観客には、ミミが最後の最後に窓から入ってくるまで、ロジャーが視野に入らないです。なんで、ロジャーが即断即決でミミを拒絶しているように見えました。

何より、ええっ?!と驚いたのは・・。
1幕の最後、La Vie Bohème Bの最後、MimiとRogerがキスする場面、MimiとRogerがこの部屋のセットの天窓のむこう側(観客の反対側)にいるので、客席からはMimiとRogerの姿が見えない?!私の席からは、二人の体の一部が窓の隙間?から見えただけだったんですが・・。しかも、あれっ、MimiとRogerはど、どこだ?!と探して発見、という感じでした。初見のお客さんだったら、見逃しそうです。
そ、そんなステージングって、ありですか??

Today 4 Uの前、Collinsが歌っている時点でAngelがドアのところにすでにスタンバイしていて、登場のタイミングを窺っているような演出でしたが、これではドラマチックさが減衰してしまうように感じた。

Over The MoonのMaureenの登場の仕方、今回は客席後方から登場して通路を経由し舞台に登場、でした。この登場の仕方、意外とドラマチックではないですね。なんだか間伸びしちゃうというか・・。あんまり効果的じゃなかった気がする。

あれれ、演出家さん、それで良いの?!矛盾してません?と強く感じた場面があるんですが・・。
2幕のFinale B、MaureenがHer fever is breaking...と歌う場面。MaureenはMimiに触れることなく、ちょっと離れたままの状態でこの部分を歌っていたように見えました。今回の日本語版は、「熱がひいた」と言っていたと思いますが、そう言っている以上は、額や顔に触れるなり、MaureenがMimiの体温を推測できるような行動をしてくれないと・・・。 
もう一つ、I'll Cover You (Reprise)で、バックコーラスを務めるアンサンブルの方々が、なんだかゴスペル聖歌隊みたいな衣装でぞろぞろっと登場したのも驚いた。視覚的になんだか珍妙ですし、それに、これだと、友人たちが心からのスピーチをしている、手作り葬式(?)という感じのこの場面のトーンや、What You Ownの直前に牧師がCollinsに心無い言葉を浴びせる場面となんだかちぐはぐな印象になると思うんですが。

このゴスペル聖歌隊登場の演出って、演出家さん、もしアメリカでこの作品を上演する機会があなたにあったとしたら、これと同じようにやりますか??ってちょっと聞いてみたいな。

私はMichael Greif版でハマったクチなので、もちろんGreif版が好きなのですが、ただ、英米日韓合わせると15回はRENTを見ていまして、そのうち13回はGreif版もしくはGreif版準拠の演出だったので、さすがにちょっとだけ食傷気味という部分もあり(笑)、新演出の試み自体は興味深くて結構だと思っていますが、やるなら姑息にGreif版をいじるのでなく、きちんと「新演出」をやって欲しいです。かえって、RENT remixedのほうが、ある意味潔くて良いと思う(明らかな失敗作だとは思いますが)。

~続く~
by saffy114 | 2008-11-15 22:59 | Japanese Musicals