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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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「Thrill Me쓰릴 미」 이창용 <イ・チャンヨン>,김동호<キム・ドンホ> 1

「Thrill Me<쓰릴 미>」。ソウルの충무아트홀 (チュンム アートホール)소극장 블랙(小劇場 ブラック)、10月12日、15時からの公演を見ました。
キャストは、
Nathan Leopold=나(私) 이창용 <イ・チャンヨン>
Richard Robe=그(彼) 김동호<キム・ドンホ>
 「Thrill Me쓰릴 미」 이창용 <イ・チャンヨン>,김동호<キム・ドンホ> 1_f0048936_23233439.jpg


千秋楽(막공ってやつですね)のマチネ公演でした。イ・チャンヨンさんのNathanは7月末に一度見ていまして、今回は2度目、約2か月半ぶりです。キム・ドンホさんのRichardは私は今回が初めてでした。

この演目は、俳優さん、というか俳優さんの組み合わせによってかなり印象が変わりますね。
それが面白いんで、つい見に行ってしまったわけですが、チャンヨンさんとドンホさんの組み合わせも、なかなか良かったのではないでしょうか。正統派に美声なチャンヨンさんと、若干ハスキーなドンホさんの歌声の組み合わせ、お二人の声質が違っていて対比が効いていて、私はこれはこれで良かったと思います。
芝居面に関しては、そうですね、愛憎ドロドロ具合が低め、だったかな?明らかにリチャードが一方的にネイサンを振り回しているというか、ちょっとサイコな感じだけどそのヤバげな雰囲気が魅力的なリチャードに、おとなし~い真面目で地味めな優等生のネイサン君が盲従している感じ、かな。まあ、確かに「絶対、背信しない」感じですね。そのぶん、彼ら二人の間での心理的な駆け引きというか、パワーゲームの緊張感みたいなものがちょっと希薄かも。

まあ、韓国語があまりわからない観客の感想ですので・・。

まず、リチャード役のドンホさんの感想から。
キム・ドンホさんのRichardは"mean"だ、と事前に伺っていまして、なんとなく想像がつくような、つかないような・・と思っていたんです。この方、以前一度「Beautiful Game」のフランク役(英語版・日本版だと「デル」という役名ですね)で拝見したことがありますが、、わあ~、この人、モジリアニの絵みたいだなあ・・という印象が強烈で(笑)、記憶に残ってました(背がかなり高くて、お顔の形が細長いでしょう?)。フランク役をなんだかひょうひょうとした現代っ子っぽい雰囲気で演じていたような記憶があるんで、ちょっとイメージ違いのような気もするけど、飄々とした・・をベクトルを少し変えれば冷徹な感じになるのかな??なんて想像していました。

 「Thrill Me쓰릴 미」 이창용 <イ・チャンヨン>,김동호<キム・ドンホ> 1_f0048936_22561683.jpg
で、実際、かなりヤバそうなRichardでした。表情や眼がキツく、冷たくて、時々イラッとした表情でギリっと爪を噛んだりしてました。蛇っぽいというか、なんというか・・。サディスティックかつPsychopathっぽいキャラでしたね。隠れ神経質(←そんな言葉あるか??)っぽい雰囲気もありました。
Nothing like fireのあたりとか、他のお二人のRichardは、火も好きなんでしょうが火自体というより、見つからずに「犯罪」を犯す、ということにまず愉しみを見出している感じですけど、ドンホさんバージョンは、マジで病的に放火好きっぽい。
ユルさんRichardは陽性の魅力みたいなものが強くて、周りがちやほやしすぎたのもあって気軽に善悪の線をも踏み越える奴になっちゃった・・みたいな感じ、ムヨルさんバージョンは、屈折した雰囲気で、父親や兄弟との関係が違ったものだったり、ネイサンの存在が彼の陰の部分を増長させなければあんなことをしでかす奴にはならなかったかも・・という感じで、環境要因の影響が多分に存在しそうな雰囲気がお二人が作っていたキャラにはありましたが、ドンホさんリチャードは、どんな環境にいようが結局、法に触れる犯罪でなくても何か非人道的なことをやらかしそうです。ネイサンがいなかったとしても、誰か自分が支配できる人間を見つけていろいろ苛みそう(笑)。

おれの辞書に拒絶なんてものは無いぞ!みたいな歌詞があった(たぶん・・)と思うんですが、なんでだかわかりませんが、ドンホ君リチャードの歌うこのフレーズがやけに耳に残りました。確かに、付き合っている時に喧嘩したり、彼の気にくわないことを言ったりやったりすると、他人に見えないところ、服に隠れて見えない部分などを狙って怪我しない程度に殴られそうです(笑)。あ、殴るとかより、タバコで火傷させられたり、カミソリとかで小さい浅い傷を複数つけられたりしそうだな。
なんで、「皆が君を欲している」かというと、なんか微妙そう。「かっこいいね~。」とは言われていそうですが、「でもさ~、あの人、なんか怖く見えるときがあるよね~。」とも陰で言われていそうな・・。

ただ、ドンホさんRichardはセクシャルな部分があまり感じられなかったかなあ。そして、ネイサンに対する態度が冷たいですね。NATHANに対する関心が薄そう、というか、愛情があるんだか無いんだか・・・・という感じです。ムヨル君リチャードの場合は、冒頭のほうの寄るな触るな的セリフは、わざとそういうことを言ってネイサンを苛立たせているような感じですが、ドンホさんRichardは半分本気っぽいような。ネイサンかわいそう。
Nothing like fireの最後で、まるでネイサンが目に入らないかのように、Richardがすっと立ち去っていました。で、それをネイサンが切なげ(?)に目で追っていた。
Thrill meの最後の部分、今年の演出ではRichardがまずNathanを床に押し倒してから、形勢逆転でNathanが上になって暗転、ですが、このとき、Nathanにのしかかられている
Richardが空虚な表情で横を向いている、という芝居をなさっていたようです。ちょうど、この暗転前の場面のRichardの顔が私がいた座席のほうを向いていて顔の表情が良く見えたので、よけいに印象に残っているんだと思いますが。

他人に対する共感がほとんど無いが、人を操る術は持っている、という感じのキャラっぽかったかな。

こういう演じ方だったので、"Keep Your Deal With Me" や"Afraid"は、つなぎ方というか、キャラに連続性を持たせるのが難しそうな・・と思ったんですが、大丈夫でしたね。Keep Your Deal With Meの最初、ピアノの音が聞こえてきたあたりはすんごい形相で、怒りを押し殺しているような、荒い息使いをしてまして、歌い出しのあたりは、ネイサンを懐柔するために・・という雰囲気でしたけど、途中から結構本気で置いていかないでくれ~と懇願するようなトーンが入ってきて、弱みというか人間的な部分が見えてきた感じ、だったかな。
なんで、"Afraid"への流れがさほど不自然ではなかった。ドンホさんの"Afraid"も良かったです。物事に絶対的な自信を持っていた人が、考えもしなかった状況に置かれてしまって初めて経験する底知れぬ不安感、焦燥感みたいなものがよく出ていたんではないでしょうか。

この役の一番の見せ場(?)、"Roadster"、ドンホさんバージョンも良かったですよ。ただ、ドンホさんは危険な雰囲気が思いっきり漂っていて(笑)、こんなお兄さんについていく子供は、ほんとに警戒心が無い子だろうなあ・・という感じです。
そうですね~、やはりこのナンバーに関しては、やはりムヨルさんバージョンのほうが、完全に観客を持っていってしまう感じではありますが。でも、ドンホさんも上手です。

歌に関しては、ドンホさんは若干ハスキー気味の歌声で、他のRICHARD,ユルさんやムヨルさんと比較すると声の伸びというか、響きがちょっと弱いようにも感じはしましたが、ドンホさんも十分上手でしたよ。ただ、やはりサビというか聞かせどころでは、声の響かせ方をもうちょっと強くしてくれたほうが観客の満足度が高くなるような気がします。

ドンホさん、ある意味、勇気ある解釈というか演じ方をしていたように思います。カーテンコールでの挨拶のご様子や、女の子たちに囲まれてサインしている時の表情や雰囲気などから推測すると、去年のユルさん的路線の演じ方もありっぽい俳優さんのように見えたんですが、選択なさったのは昨年この作品を見てハマった観客に支持されない可能性がある意味最初からはっきりしているキャラ作り、ですよね?そういう意味で、おっ、思いきりがいいな、と。
まあ、自分より先に同じ役を演じた俳優さんと同じような解釈・芝居では、ちょっとつまらないし、二番煎じみたいに思われてしまうリスクもありますから、そっちのほうを避けた、ということかもしれませんが。演出家のご意向などもあるでしょうし、ね。
 「Thrill Me쓰릴 미」 이창용 <イ・チャンヨン>,김동호<キム・ドンホ> 1_f0048936_2326491.jpg



~続く~
by saffy114 | 2008-10-19 23:20 | Korean Musicals