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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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レベッカ(REBECCA)

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「レベッカ(REBECCA)」。シアタークリエにて、4月9日、18時半からの公演を見ました。

キャストは、
「わたし」 大塚ちひろ  
マキシム 山口祐一郎  
ダンヴァース夫人 シルビア・グラブ  
フランク 石川 禅  
ファヴェル 吉野圭吾  
ベン 治田 敦  
ジュリアン大佐 阿部裕  
ジャイルズ KENTARO  
ベアトリス 伊東弘美  
ヴァン・ホッパー夫人 寿ひずる  
アンサンブル 松澤重雄   武内 耕   中山 昇   齊藤裕加   俵 和也   田中秀哉  
河合篤子   鈴木結加里   水谷祐紀   礁氷マキ   中村友里子   石田佳名子

staff
作詞/Michael Kunze
作曲/Sylvester Levay
演出 /山田和也
翻訳・訳詞 / 竜 真知子
音楽監督 / 甲斐正人
美術 / 伊藤保恵
照明 / 成瀬一裕
衣裳 / 小峰リリー
指揮 / 西野 淳
演出助手 / 末永陽一
舞台監督 / 鈴木政憲
翻訳 / 長谷川真実
翻訳協力 / 迫 光

~Notice~
This article contains spoiler!!

思ったより良かったです。初日が4月6日ですから、開幕してから5回目の公演を見たことになるわけですが、手際が悪い場面などもなく、結構きっちり出来ていました。世紀の傑作というわけではありませんが、なかなか良かったと思います。
作品自体は、とりたてて素晴らしいとまでは言えないとは思いますが、そう悪くないですし、十分楽しめます。今回は作品や曲の魅力をキャラクターが合わないキャストやきちんと歌えないキャストで損なってしまうということが殆ど無く、これがとても嬉しかったです。

作品そのものに関して。
2幕のラストの「炎のマンダレイ」の場面がちょっと迫力不足で残念。
小さい劇場での上演ですし、そうお金をかけた演出にする気もないのでしょうが、城が炎上するこの場面は映画でもインパクトがありましたし(私は、映画で記憶しているのはこのシーンだけ・・)、見せ場になりそうなのに、赤い照明のなかキャストが右往左往するだけっぽい演出で、なんだかつまらない・・。まあ、そういうスペクタクルで見せるのではなく、人間関係のドラマとして見せたいんだ!ということなのかもしれませんが。
それに、ここでダンヴァース夫人の見せ場・聴かせどころがあってもいいような気がするんですが・・。最後にば~んと歌って華々しく(?!)怖ろしく、散っていって欲しいような。

1幕のナンバーは、やや冗長というか長すぎるように感じるものもありました。クンツェ・リーバイ組の作品全般がそういう傾向があるようにも思うんですが。オペラで言うところのアリアっぽい、一人で心情を歌い上げる系のナンバーの場合、長いとなんだか醒めちゃうんですよね・・。

キャストについて。
大塚ちひろさん、プロローグの時は、ん、ちょっと歌が弱いかなあ・・と思いましたが、それ以降は殆ど気になりませんでした。最初のナンバー以外は、十分に歌えていたと思います。少し癖があったり、多少声量が不足気味かな、という時があったりもしますが、この作品のこのキャラクターのナンバーの場合は、それでも問題ないと感じました。多少声量不足でも、彼女のように清純な感じの声で、愛らしい雰囲気を持つ人のほうがこの役には似合うように思うので。
役柄にルックス・雰囲気が合っていました。ブロンドのウィッグもおかしくなかったですし。特に前半の「わたし」の部分が似合っていて、とても良かったと思います。
前半の、ちょっとおずおずした「わたし」から、マキシムの告白を聞いてからの、強くなった「わたし」への変容もきちんと表現できていた。大変良かったと思います。嬉しかったです。

ダンヴァース夫人役のシルビア・グラブさん。とても良かったです。拍手。ソロナンバー、迫力がありましたね。ウィーン版のサントラよりも個人的にはグラブさんのダンヴァース夫人の歌のほうが気に入りました。セリフ部分も、なかなか凄味がありました。目つき・表情なども良かったですね。「わたし」でなくても、おびえそうです。黒ずくめの服装に、ひっつめたヘアスタイルという姿の下に、レベッカへの愛というか執着など、どろどろした情念がふつふつとたぎっている感じ。
この役、映画版のこの役を演じた女優さんのような雰囲気の方ではなく、シルビア・グラブさんのような、若めで美しい方が演じていたのが良かったと思います。そのほうが、いろんな意味で面白いと思うので。

マキシムの山口祐一郎さん。1幕での登場場面、白いスーツで颯爽とホテルに現れますが、さすがです、これ、似合っていました。格好いいですね。最近、ややお顔に肉がついたような・・と思っていたのですが、ちょっとお痩せになったのでしょうか、ちょっと若返った感じ。
ヴァン・ホッパー夫人に対して「わたし」との結婚を告げる場面などの、ちょっととぼけたセリフなどは面白くてよかったです。こういうユーモラスな場面や、魅力をふりまく場面は良かったんですが・・。
苦悩や怒りを見せるシーンは、ちょっと・・・。う~ん。あんまり上手じゃないですね。「芝居してます!」という感じになってしまう・・。
あと、歌なんですが・・。1幕の前半のナンバーはなかなか良かったんですが、「神よ、なぜ」とか「凍りつく微笑み」などの歌い上げ系のソロナンバー、あまり声の出が良くなかったかも。声自体は良い声なんですけどねえ・・。へんに浅く響かせてしまって、声が前に飛んで行かない感じというか・・。なので、特に「凍りつく微笑み」のあたりで、あ~、マキシムとフランク役を交代して、このナンバー、フランク役で出演している石川禅さんあたりが歌ったら、もっとドラマチックだったんじゃないかなあ、なんて思ってしまいました。
祐一郎さん、もっともっと、凄い声をお持ちだったように思うんですが・・。
まあ、祐一郎さんの場合は、多少歌がもう一歩の出来でも、芝居がいまひとつでも、なんだか笑って許せてしまう、摩訶不思議なパワーをお持ちなんですけど、ね。

フランク役の石川 禅さん、とても良かったと思います。残念ながら、ソロナンバーは一つですが大変良い声で、歌も素晴らしかったのですが、 私は芝居が気に入りました。2幕、脅迫に来たファヴェルに対峙する場面など、綿密に演技していらっしゃいましたよね。酒のボトルのキャップを腹立たしげに閉めたりとか。確か1幕で、「わたし」にレベッカのことを尋ねられて返答する場面も良かった。確かにレベッカは美しかったと返答しながらも、どこか苦々しげな感じが仄見えて、レベッカには何かあるな~、と観客に想像させるヒントを与えてはいるが、はっきりとは表現しない、そのさじ加減が上手だな~、と。
老け役っぽい扮装で演じていらっしゃたからだと思いますが、あ、この人で「ラ・マンチャの男」って、どうだろう?などという考えが頭をよぎりました。
 
ファヴェルの吉野圭吾さん、ちょっとセリフの言い方というか、語尾の言い方に引っかかりを感じました。何回も、「・・・・なんだ、よ~~~~。」と語尾を延ばしてセリフを言っていたと記憶しています。1回ぐらいなら、まあ別に良いのかもしれませんが、何回もやるとしつこいと思います。 大して面白いわけでもなし。このキャラクターの演じ方も、ちょっと疑問でした。ごろつきっぽさを出そうとしているのかもしれませんが、ねちっこい、変わった人という感じにしか見えなくて、あえてレベッカが従兄妹なのに愛人にしちゃおうと思ったのもむべなるかな、というような魅力が感じられなかったです。ソロナンバーは、ダンスはさすがに上手でした。が、なんだか唐突で、他の場面からちょっと浮いているような気も。

ベアトリスの伊東弘美さんとジャイルズのKENTAROさんは、親しみやすいタイプの義姉と変わり者の旦那という感じで、ハマっていたと思います。伊東さんは歌も良いですよね。
ヴァン・ホッパー夫人の寿ひずるさん、貫禄あります。宝塚出身の方って、ベテランも華があって、ああさすがだなあ、と思います。

あ、舞台セットについて。
マンダレイのシーンで、ステージの左側に白いカーテンが登場する時があるのですが・・。私の席は、左端の前方だったのですが、そこからだとこのカーテンが視界をさえぎってしまい、ちょっと邪魔でした。まあ、ストーリー上重要なシーンは問題なく見えるのですが・・。やはり舞台上に死角になる部分が出来てしまうのは望ましくないと思います。

というわけで、今回は、大塚さんとグラブさんの好演が印象的でした。
by saffy114 | 2008-04-16 00:30 | Japanese Musicals