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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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「ラ・マンチャの男(Man of La Mancha )」 日本版 (1)

「ラ・マンチャの男(Man of La Mancha )」 日本版 (1)_f0048936_23423096.jpg

「ラ・マンチャの男(Man of La Mancha )」。帝国劇場にて、4月5日、17時からの公演を見ました。初日でした。
ちなみに、日本の「ラ・マンチャの男」は1969年初演、その後も初演と同じ松本幸四郎(歌舞伎俳優です)の主演で再演を繰り返しており、今回が26回目の上演です。

【キャスト】
セルバンテス&ドン・キホーテ 松本幸四郎
アルドンサ 松たか子
サンチョ 佐藤 輝
牢名主及び宿屋の主人 瑳川哲朗
カラスコ 福井貴一
アントニア 月影 瞳
神父 石鍋多加史
家政婦 荒井洸子
床屋 駒田 一
隊長 鈴木良一
ペドロ 大塚雅夫
ギター弾き 水村直也
ムーア人の娘 萩原季里
マリア 塚本理佳
片岡身江 美濃良 山本真裕 祖父江進 佐嶋宣美 中尾和彦 土屋研二 藤田光之 山本直輝 石丸隆義 板垣辰治 市川裕之 栗林昌輝 斉藤義洋 柴崎義則 高野史郎 安部幸太郎 真島邦英 松之木天辺 高木裕和 松本錦一 仲由幸代

【スタッフ】
脚本 Dale Wasserman
作詞 Joe Darion
音楽 Mitch Leigh
訳 森 岩雄/高田蓉子
訳詞 福井 崚
日本初演の振付・演出 エディ・ロール
演出 松本幸四郎
演出補 松本紀保
演出助手 小島 靖
振付 森田守恒
装置 田中直樹
照明 吉井澄雄
音響設計 本間 明
音楽監督・歌唱指導 山口琇也
音楽監督・指揮 塩田明弘
歌唱指導 桜井直樹

いつも牢名主及び宿屋の主人役を演じていた上條恒彦さんが、「喉のポリープ」のために降板して、瑳川哲朗さんが出演されていました。

松本幸四郎が主演と演出、アルドンサが松たか子、演出補に松本紀保さん、と、まるで「松本幸四郎一家の『ラマンチャの男』」、といった様相です。

日本版の「ラマンチャの男」、実は今回初めて見ました。
「ラ・マンチャの男」、中学のときにFENで特番かなにかでやっていたミュージカル特集で、Richard Kiley が歌う「Man of La Mancha (I, Don Quixote) 」、「The Impossible Dream」を初めて聞きまして、おお、これは良さそうだと思ったんですね。で、確か数年後テレビで放映された映画版を見たんですが、曲を聴いて想像したほどのインパクトはなかった(当時の私には・・)んですよね。まあ、映画版は歌がちょっと弱いというのが一番の原因でしょうが。
そんなこともあって、舞台版、見てはみたかったのですが、学生の頃は四季やその時々の話題作を優先してしまって、この作品までは手が回らず、社会人になってからはそもそもミュージカルを見に行く時間があまりなく、一番最近の2005年の再演のときは、見に行ける環境にはなったのですがアルドンサのキャスティングに疑問を感じて、いずれもうちょっと似合うタイプの人に交代したら見に行こう、と思ったんですよね。で、2006年に、韓国の2005年版の「ラ・マンチャ」のサントラが存在することを知って、入手して(←結構たいへんでした)、え~っ、こんなに良い作品だったんだあ、と改めて驚き、同時に日本版を見ておけばよかったな~と反省。このCDを聞く前に、もちろんBrian Stokes Mitchell主演のBW再演版のCDなども聞いていて、気に入ってはいたのですが、この2005年韓国版、ライブ録音で、ラストのほうはセリフ部分も収録されていまして、この部分がとても感動的だったんですよね。なので、日本版、再演してくれないかなあ、と思っていたら、昨年、日本版の2008年再演が決定したうえ、さらに韓国版の再演があったんです。で、昨年、初めて韓国語バージョンでこの作品の舞台版を見ました。これが凄く良かったんですよね。完全にセリフが理解できるわけではないのに、ストーリー・歌がダイレクトに伝わってくる感じ。こりゃ良い作品だなあ、と思い、日本版への期待も膨らんでおりました。
こういう経緯なんで、どうしても昨年見た韓国版と比較しながらの感想になってしまいますが・・。

日本版、インターミッション無しで、2時間ちょっとの上演です。舞台両サイドにオーケストラが配置され、通常の舞台の中央に黒っぽい円形の舞台が設置され、その円形の両サイドから舞台前方に降りる階段がありました。後方にも階段があった模様。牢獄に下りてくる階段は、舞台正面奥の壁のかなり高いところから設置されていました。
最初のOverture、なぜか・・舞台中央に指揮者・塩田明弘氏が登場(驚)。スポットライトをあびて思いっきり指揮していました。さぞご満足なさったことでしょう。まあ、この方、ファンも多い方ではありますが・・。こりゃ、やりすぎでは??かえってしらけるような気が。飛び跳ねながら指揮しているのがちらっとちらっと見えるから面白いんであって、こう、前面に押し出されてしまうとちょっと・・。喜ぶ方もいるとは思いますが・・。


日本版、期待しすぎていた、ということなのかもしれませんが、肩すかしを食らったような印象。もちろん、作品自体が良いですし、そう悪くはないんですけども。あまり、「ミュージカルを見た!」という気がしなかった、です。歌で「聴かせて」くれない、というか・・。歌で盛り上げて欲しいところで、いまひとつ盛り上がらない、と言う感じでした。
じゃあ、「芝居」が良かったか、というと、大きな欠点は無いですし、下手だとかそういうわけでは全く無いのですが、なんだか淡々と進行して行く感じで、私のnative languageの日本語で上演されているのに、いまひとつこちらに訴えかけて来る力が不足しているように思いました。
どういうわけだか、かえって韓国版のほうが作品の内容が伝わってきた感じ?!、でした。

それから、全般に、照明が暗いと感じました。
なので、登場人物の表情などが見えにくかったです。1階席の前方でしたら大丈夫なのかなあ??私は2階席の前方席だったから、そう見えただけなんでしょうか・・。

この照明の暗さというか舞台のトーンの視覚的な暗さ、そしてギターのソロが多くなっている音楽のアレンジの仕方なども手伝ってなのか、日本版、全体にメリハリがあまりないというか、やや単調な印象でした。歌も、殆どの方が音程などは外すことなくきちんと歌えてはいるのですが、いまひとつこちらに伝わってこない・・。セリフも、かなあ・・。歌の技術的な問題もあるのでしょうが、それ以上に「歌詞」や「セリフ」の文体のため、のような気もしました。文語調だったり、お江戸の庶民を描いた、一昔前の時代劇のセリフみたいだったりするんですよね。サンチョの「・・でがす。」と言う言い回しや、アルドンザの「あたい」という言い方とか・・。


日本版、長所と思われる点は・・。
・Moorish Danceの最後などで、円形舞台からアンサンブルがジャンプして飛び降りて退場していましたが、あれはなかなか良いですね。
・ギターのソロなどでスペイン情緒が醸し出されているのも、一応長所、かな。
日本版、ギターのソロが多かったですね。オリジナルのCD,BW再演版、韓国版とだいぶ違うアレンジをしているナンバーが結構ありました。スペインっぽさを出そうとしているのかな、と推測します。ギターのソロが多い、とうことは、逆に言えばその部分は伴奏にオーケストラが使われないわけです。なんで、スペインっぽい雰囲気が強調される反面、ちょっと迫力が無くなっちゃうとも言えると思います。なので、長所であると同時に短所でもある、かも。
・アンサンブルの方がキホーテ・サンチョが乗るロバ?の役をやっていましたが、彼らが登場するMan of La Mancha (I, Don Quixote) の部分と、What Do You Want of Me? の前の部分などは、ちょっと面白かったです。

~続く~
by saffy114 | 2008-04-09 00:46 | Japanese Musicals