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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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All Shook Up(日本語版)  (1)

「All Shook Up(オール・シュック・アップ)」。青山劇場にて、12月9日、17時30分からの公演を見ました。  
キャストは、
Chad 坂本昌行
Natalie/Ed 花影アリス
Jim Haller 尾藤イサオ
Sylvia 諏訪マリー
Lorraine 尾藤桃子
Dennis 岡田浩暉
Miss Sandra 湖月わたる
Dean Hyde 原田優一
Mayor Matilda Hyde 伊東弘美
Sheriff Earl 青山明

演出:David Swan(デビッド・スワン)
翻訳:寺崎秀臣

この作品、今年の2月にソウルでDavid Swan演出の韓国語版を見ました。大して期待せずに見に行ったのですが、予想外に満足度が高い公演だったんですね。他愛も無いストーリーで、まあ内容が無いといえば無いんですが、面白かったですし、とにかく出演者の皆さんの歌がものすごく上手だったので、楽しめました。
日本語版(←日本版という言葉をあえて使いませんでした)も同様に楽しめました。日韓で同じ演出になるだけに、歌の実力差が出ちゃったらいやだなあ、とちょっと思っていましたが、今回の舞台は日本版も歌はおおむね上手でした。良かったです。まあ、残念ながら、歌だけで言えば、すべての出演者の歌に文句がほとんどつけようがなかった韓国版のほうが上手だったと思いますが、日本語版も歌えていましたし、主演のチャド役の坂本さんのキャラクターが、この役にとても合っていたのがとても大きなプラスだったと思います。

ただ、日本版、というより・・・。これは、韓国のODミュージカルカンパニー制作のDavid Swan演出版の日本語上演、ですね。
韓国で見たDavid Swan演出バージョン、気に入っていましたので、その舞台を私の母国語の日本語で見ることができて嬉しい反面、日本人ミュージカルマニアとしては、複雑な思いも去来したのも事実です(後述予定)。

8月ごろ、日本でDavid Swan版の権利を買って上演というニュースを読みましたので、日韓で同じ演出・振付になるんだなとは思っていましたが、ここまで全てがほぼぴったり一緒になるとは実は思っていませんでした。日本版、数点の衣装・一部の振付・セリフなどを除けば、衣装・セット・演出からアンコールに至るまで、ほぼ韓国版と同一でした(と、思います。とっても舞台から遠い席から見たので、細かいところは見落としているかもしれませんが)。
プログラムを見ると、「大道具・小道具・衣装協力 ODミュージカルカンパニー」とだけクレジットされていますが・・。ここまで同じにするんだったら、韓国版のセットデザインの方、衣装の方、照明デザインの方、소품디자인の方の名前もクレジットするように契約してあげればよかったのに。(ね、ODさん?)ロレインのヘアスタイルなんかも韓国版そのまんまだから、분장디자인の人の名前もクレジットすべきか??
韓国版を見ていて、これは非常に韓国的センスといえるのかなあ、と感じたサンドラの最初の衣装は、やはり変更されていました。しかし、同様に感じたロレインの最初の衣装は日本語版でもそのままだったので、ちょっと驚きました。let yourself goのサンドラの振付、少しだけ変えていたように思います。韓国版よりも、いわゆる웨이브(wave)と呼ばれている動きを控えめにしていたと思います。David Swanさん(というか韓国の舞台全般に言えるのかも)、振付で女性のセクシーさを出そうとするときに、この動きを安易に多用しすぎるように感じていたので(ラ・マンチャのムーア人の娘たちの振付でも、やたらとこの動きをやっていたので・・)、これは控えてくれて、嬉しいです。

Chad役の坂本昌行さん、とても良かったです。さすが、観客をつかむのが上手ですし、何より、面白いですよね。チャド役って、カリカチュア的なキャラですし、演じ方によっては”痛い”ものになり得ると思うのですが、坂本さん、面白く・適度にかっこよく、上手に演じていました。エルビス風というよりも、それを通り越した(笑)腰の動きなんかも笑えましたし、歌も安定していて上手でした。(私、Wedding singerのRobbie役、日本だったら坂本昌行さんが合うような気がするんだけどなあ・・。)テレビの画面で見ると、この人、ジャニーズにいる、年齢が若干高めの、やせているためかやや年のわりにしわが目立つといえなくも無い背が高い人(←長い・・)、というぐらいのイメージしかなかったのですが、舞台では映えますね。
ただ、最初のjail house rockで、ポールを滑り降りてくるところ、韓国のチャドのチョ・ジョンソク君はくるくるっと華麗に回転をつけながら滑りおりていて、とてもかっこよかったのですが(キム・ウヒョンさんがどうだったかは知りません)、坂本さん、この場面はなんだかあっさり普通に滑り降りていて、地味でした。できれば、ここはもう少し派手派手しくやって欲しいですね。もしかしたら、チュンムよりも青山劇場のほうが舞台の高さがなくて、あの監獄のセットの丈が短くて滑りおりる距離が短い、とか、なにか事情があるのかもしれませんけどね。
あと、最後のナンバー、「Burning Love」の出だし、英語だと「Lord Almighty!」というところ、韓国語版だと「ナントカ젠장!」と歌っているように聞こえた部分、日本版はセリフ調にしちゃっているんですね。「限界だぜ!」だったかな?韓国版のこの歌いだしの部分、とてもかっこよかったので、できれば日本語版もセリフ調じゃなくて歌ってほしかったなあ。

Natalie/Ed役の花影アリスさん。とても愛らしい雰囲気ですね。それはとても良かったと思います。歌は、ナタリーの部分は、順当に歌っていたと思います。ただ、エドの部分の歌・演技がもう一歩でしたね・・。それなりに声量はあるようで、また、エドとしてのナンバーのA Little less conversationやLove me tender、地声で歌ってはいるのですが・・。余裕がない発声なんですよね。声量が無いわけではないだけに(というか、高めのキーを地声で歌うには、あのくらいの声量が必要だった、のかな?)、若干乱暴に歌っているというか雑に歌っているように聞こえてしまっていました。一歩間違えば金切り声寸前、というか・・。
ナタリー役、韓国で見たときはユン・ゴンジュさんが演じていたんですね。はい、韓国版の「ラマンチャの男」来日ツアーのアルドンザ役だった人です。ああいう殊に歌が上手な人と比べちゃいけないのかもしれませんが、ユン・ゴンジュさんのA Little less conversationはとても格好良かったんですよね~。聴いていて爽快でした。あんな感じで歌って欲しかったです。
あと・・。韓国版のユン・ゴンジュさん、とても上手だったんですが、エドのときはやはり女性っぽさがかなり残っていたので、舞台を見ながら、もし日本で上演するならば、この役は宝塚の男役出身の人などがやったら面白そうだなあ、と思ったんですね。なので、宝塚の人がこの役を演じると聞いて、楽しみにしていたのですが、花影アリスさんのエドは、ゴンジュさんよりも女の子っぽかったので、拍子抜け。特に、サンドラと並ぶと明らかにエドのほうが小柄で雰囲気もかわいらしい・・。まあ、演出上の考え方で、明らかに女性、という感じを残してエドを演じさせる方針で、そのためにあえて女役の方を起用したのかもしれませんが。
でも、可愛いので、花影アリスさん、ナタリーとしては良かったです。


~続く~
by saffy114 | 2007-12-12 22:46 | Japanese Musicals