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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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日本版「PIPPIN」

「WTF!?」の一言に尽きる。以上。
で終わらせようかと思ったが、一応、感想・意見を書いておこう・・。

日本版の「PIPPIN(ピピン)」。天王洲 銀河劇場にて、10月10日、19時からの公演を見ました。

キャストは、
leading player/パパイヤ鈴木, Pippin/相葉弘樹, Charles/石原慎一, Lewis/進藤学, Fastrada/杏子, Berthe/中尾ミエ, Catherine/鈴木蘭々

翻訳・訳詞/ 小田島恒志
演出・振付/ 上島雪夫
音楽監督・編曲/ 奈良部匠平


まず、歌えない・踊れないleading playerって、あり得ないでしょう(怒)。Ben Vereen並みにとまでは言わないが、韓国版でこの役をやっていた임춘길イム・チュンギルさん並みには歌えて踊れなきゃダメなんじゃないでしょうか。パパイヤ鈴木さんの歌唱力では全く不足です。音程が外れるというわけではありませんが、ただ音を外さずに歌える、その程度だと思います。simple joyなど、もっと良い曲なのに、曲の持ち味を生かして歌えていないんですよね。gloryなども同様。同じアジアの、韓国版のイム・チュンギルさんが、大健闘していたのを覚えているので、余計に腹立たしかった。しかも、임춘길さんぐらい歌えて踊れる人、日本にだって結構存在すると思いますし。
パパイヤ鈴木さん、ダンス力も不足ですよね。ある特定の分野の振付の振付師としては優秀でいらっしゃるのでしょうが、ダンス力は不足だと思います。
まあ、この演出・振付は、leading playerに歌・ダンス能力を求めていないということなのかもしれませんが、それじゃ、この作品の魅力は失われてしまいますし、実際、失われてしまっていました。

そして、唖然としたのが・・。with youの後のダンスナンバー、women!の部分が、なんとばっさりカットされていたこと。このダンスナンバー、この作品の見せ場のひとつだと思うのですが、消え去っていました。驚愕。演出・振付の上島雪夫氏、どういう意図でここを削ってしまったんでしょう?振付をする人なら、やり甲斐のあるナンバーでしょうに・・。Fosseと勝負する勇気がないということ??この場面がどうなっているかを見たくて行ったようなものなので、本当に愕然としました。
それとも、私がその場面の間だけ意識が飛んでいたのかしら(苦笑)。

    
アンサンブルの方のダンス力、無いわけではなさそうだったんです。なのに、振付が凡庸で、面白くなかったです。でも、良い意味で凡庸でした。ええと、例えば、今年の日生劇場の「Tommy」の時などは(別の振付家さんですが)、冒頭の軍需工場のシーンの振付が○×$#で、なんだこりゃ、と思ったのですが、今回は、そういう、ひっどいな、これは・・、というような動きはないので、それはマシなことだったと思います。光るものはないが、そりゃねえだろ、という動きはなかった、という感じですね。
Catherineとピピンのベッドシーンの、アンサンブルの男女ペアのダンスは、フォッシーの振付をほぼそのまま使用していましたね。
もっと、ダンスの見せ場を作ってくれれば良かったのに。この作品はダンスが重要な作品だと思うんですけどね。

別に、オリジナル・プロダクションのままに上演しろとは言いません。あの衣装、現在の日本の舞台でやるには、厳しいモノがありますしね。作品としても、この作品って微妙な部分もありますしね。わかりにくいというか。でも、今回の演出はいただけません。leading playerがこの物語の作者で・・という演出だったようで、それを説明するようなleading playerのセリフが出だしに付け加えられていたり、途中にもかなりleading playerのセリフが追加されていたように思います。最後にも、オリジナルにはないシーンが追加されていました。全くの蛇足だと思いますけどね。
劇中で、leading playerが、やたらとピピンに対して最後に自殺を勧めることになるのをほのめかしたりするんですよね・・。ピピンに最後に自殺を勧める時に使うピストルが劇の途中で登場したりとか。アンサンブルが先走って劇の途中でピストルを持ってきてしまって、「早い!」とたしなめられる、みたいな感じです。で、こういう楽屋落ちみたいなギャグというか、ネタが多いことにイラつきました。leading playerが「(ピピン役の俳優さんが)初めての主役なんで・・。」みたいなことを言ったりとか。適切に、うまくやれば楽屋落ちも面白いですが、今回は面白くありませんでした。

leading player以外の俳優さんたちの芝居もいまいち。歌も同様。昔、RENTのコリンズ役で拝見した石原慎一さん、コリンズ役の時はとても良かった記憶があるので期待していたが、今回は、歌、あんまり冴えませんでした。声自体はなかなか良いのに。

そもそも、「Pippin」という作品を上演しようというより、主演の俳優さんや主役の弟役の方などのファンを集客できる企画をやろう、という程度のノリの舞台だったんでしょうか・・。実際、観客層はほとんど彼らのファンで構成されているような感じでした。






この舞台は・・・お粗末だったとしか言えないと思う。ダメな舞台の良い例だったと思います。

ダンスが重要な作品で韓国版に負けるなんて・・、ありえないだろ。なのに負けた。勝てる勝負なのに。って、別に競争しているわけじゃないけど。
by saffy114 | 2007-10-12 23:07 | Japanese Musicals