人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)

 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_15491014.jpg
劇団四季の、韓国語版「THE LION KING<라이온킹>」。ソウルの샤롯데 극장 <シャーロッテ劇場>にて、9月2日、14時からの公演を見ました。
キャストは、
라피키<ラフィキ>・・김정미 キム・ジョンミ
무파사 <ムファサ>・・강태을 カン・テウル
자즈<ザズー>・・박준혁パク・ジュンヒョク
스카<スカー>・・ 이기동イ・ギドン
줸지<シェンジ>・・손지현ソン・ジヒョン
반자이<バンザイ>・・김륜호キム・リュンホ
에드<エド>・・김슬기キム・スルギ
티몬<ティモン>・・안정환アン・ジョンファン
품바<プンヴァ>・・이무현イ・ムヒョン
심바<シンバ>・・ 조상웅チョ・サンウン
나라 <ナラ>・・오미영オ・ミヨン
어린심바<ヤング シンバ>・・이지명イ・ジミョン
어린나라<ヤング ナラ>・・오로라オ・ロラ
男性アンサンブル・・박한기,김용덕,정관우,송요한,김태웅,백민수,김기주,함승한,김기남,유헌철,김재현,김수호,김명제
女性アンサンブル・・유신,김은실,최상이,미루,하미미,박고운,이지연,정선지,강영란,정단영,정소연,조은희,최은혜


先月ハンブルグ版を見たばかりなので、どうしてもハンブルグ版と比較しての感想になりがちですが・・。。
四季版はハンブルグ版に比べると舞台がかなり小さいようです。なので、ハイエナがたくさん登場するシーンなど、アンサンブルが大勢舞台に登場する場面は、ん??なんだか人口密度高い?!と感じてしまった。プライドロックとか、スカーが使う、骨(?)みたいなセットも、ハンブルグ版はもっと高さがあったような気がする。
それから、ハンブルグ版が、アフリカ!!サバンナ!!という雰囲気だったのと比較すると、四季版はやや熱帯雨林テイストが混じる感じ。ハンブルグ版は舞台が広く高いのと、空の色を表現した背景の色が、本当にサバンナの青空という感じのきれいな澄み切ったブルーで、とても美しかったのと、広大な感じがかもし出されていて、ステキだったんです。韓国の四季版は、なんだかアフリカっぽさがあまり感じられませんでした。

そう悪くはないし、光っていたキャストもいるし、ジュリー・テイモアの衣装・装置などはやはりユニークで面白いですから、終演後のカーテンコールでは気持ちよく拍手できるけれども、でも何か足りない、という感じの舞台でした。もう一回見ようかな~、という気を起こさせるようなパワーが欠けています。
歌だけで言えば、たぶんメインキャストはハンブルグキャストと遜色なく歌えているように思います。なのに、観劇後の満足度はハンブルグ版のほうがはるかに高いです。ハンブルグ版のほうが、キャストの演技力が優れていたのと、舞台の大きさや音響などがハンブルグ版のほうに分があるためでしょう。

韓国版の皆さん、ちゃんと歌えていますし上手なんですけど、何というか・・・、観客にアピールする力に欠ける印象。韓国の他の舞台と比較しちゃうと、歌が普通だったなあ・・、という印象を持たれちゃうかも。曲の中の、山場みたいな部分でがーんと盛り上げてくれないんですよね。一般的に、韓国の舞台って、曲のサビでどっかーんと声量を上げてきて、うまく盛り上げるんです。それをあまりやってくれないので、なんとなく、歌が普通だったなあという印象になっちゃうんだと思います。ちょっともったいない。

あと、やはりダンス力にやや問題があるように思います。振付はきちんとこなしているし、勢いもあるんです。大きな難点はないんだけど、静かな動きとか、ポーズが、どこか決まらない印象。たぶん、長くダンスをやっているわけではないキャストが多いんだろうなあ、という印象。ライオンキングの草だの木だのを担当するアンサンブルの動き・振付って、一種の様式美みたいなものが要求されるように思うんですが、ハンブルグ版に比べると、こういうアンサンブルの動き・ポーズがいまひとつ決まらない。というか、必死に頑張ってやっている感じだったりしたんですよね。あ、あと、ハイエナが大勢出てくるシーン(Be prepared)のダンスで、メインのダンサーたちのフォーメーションがちょっと壊れちゃっていたなあ。

なんとなく、韓国版(というより四季版が、でしょうね)はハンブルグ版に比べると雑然とした印象の舞台でした。
それから、私の見た日のキャストは、ムファサ役とスカー役の方、はまり役とはいえない印象だったんです。頑張っていらっしゃいましたし、歌もこなしていましたし、好感は持ったんですけれども、なんというか、「上手なアンダースタディ」という印象だったんですよね(ごめんなさいね・・)。これもマイナス要因だったと思います。

キャストでは、ハイエナ三人が光っていた。Chow down,とても良かったです。ハンブルグ版のハイエナ三人が、歌が平凡だったから、余計に引き立つのかも。特に、シェンジ役のソン・ジヒョンさん、声が良くてかっこよい歌い方です。日本の初演の頃、この役をやっていた方もとても良かったが、ソン・ジヒョンさんも良いですね。カーテンコールで、頭のかぶりモノをとったら、ハイエナ役に似つかわしくない、かなりかわいらしい方のようでした。
プンヴァ役のイ・ムヒョンさん、とても良い声ですね。日本の初演でこの役をやっていた方、とても上手で良かったんです。大ボケ演技が実に見事だったんですよねえ。イ・ムヒョンさんは、ボケぶりは日本の初演の俳優さんほどでは無いかもしれませんが、ちゃんとおバカな豚さんでした。そして、声・歌がとても良かった。
シンバ役のチョ・サンウンさん、この人は雰囲気が役にとても合っているように思います。体操のお兄さん風、というか、まだ幼い感じが残る風貌にマッチョな体格で、やはりまだ若々しい感じの残る、わりとよく通る明るい声をお持ちなんですね。
 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_1313812.jpg←こんな感じの人です。→ 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_13132860.jpg無邪気な雰囲気で、エドとプンヴァとジャングルで遊んでいる?あたりなどは、かなり可愛らしいです。歌もよかったです。良く声が出ていました。高音もきれいに出せていました。ただ、例えば「endless night」の「그래!」とかいうサビのあたりからラストにかけて、もう少し声量を上げてくれたら、もっと印象的だったんじゃないかなあ。He lives in you(reprise)のあたりも同様。He lives in you(reprise)のシンバのダンスというか、動きがありますよね?あれはサカケンさんのほうが決まっていたな。(チョ・サンウンさんのこのシーンを見ながら、ああ、李涛さんのシンバなら、このシーンの動きとかきっと上手だったんじゃないかな~、見逃して残念だなあ、とふと思いました。)

以上が、印象に残ったキャストです。
その他のキャストについて・・。
ムファサのカン・テウルさん、歌は良かったが、雰囲気とセリフの声が、ちょっと王様っぽくない。体格はいいが・・。わりと普通に大柄なお父さん(?)って感じ。ムファサ役って、BWの初演でも、日本の初演でも、そして先月のハンブルグ版でも良く響く深い声のバリトンの人がやっていたが、カン・テウルさんはそういう声ではないんですよね。ちょっと王者の風格不足でした。子供を愛するパパという感じは良く出ていたけど。あと、動きがなんだか身についていない感じでした。でも、歌は、先日JCSのシモン役で拝見した時よりも、はるかに良かった
です。They lives in youは良かった。

スカー役のイ・ギドンさん、この方も良い声ですね。声量もあるし、歌は良かったです。いかにも悪そうというか、粘着質に悪そう?な感じのスカーでした。ただ、下村さんのスカーが持っていたような、ユーモラスな感じが殆ど感じられなかった。そして、ちょっとカリスマ不足かなあ。(でも、下村さんのスカーと比べられちゃうのは、ちょっと厳しいですよね。)イ・ギドンさんのスカーは2幕になってからのほうが勢いがあって良かったな。왕비!!とか言い始めるあたりとか、シンバが戻ってくる直前にサラビに当たるシーンなどが似合っていました。

ラフィキのキム・ジョンミさん、歌も演技も上手にこなしていますし、欠点は無いと思います。ですが、あまり印象に残らなかった。何でだろう??でも、悪くないですよ。呪術師っぽさも出てますし。
ティモンのアン・ジョンファンさん、人形遣いはなかなか上手でした。この役はセリフ廻しが重要でしょうから、韓国語があまりわからない私は、この役に関しては、評価できる立場じゃないですよね。でも、とりあえず、せかせかした感じが良く出ていたと思います。
ナラ役のオ・ミヨンさん、ややふっくらした頬の美人のナラという感じです。動きに鋭さがあればもっと良し。ナラの「shadow land」で、前半で歌と録音の伴奏とライブ演奏の打楽器のテンポがずれて、ほんの少しの間だけだが、なんだか変になっちゃっていました。聞いている私のほうが、一瞬あせってしまいました。すぐ、持ち直しましたが。後、後半でも一箇所だけ音がはずれましたが、それ以外は、歌に関しては大きなアラはないです。でも、もう少し鋭い感じで歌ってくれたほうがいいかな。(ナラ役も、濱田めぐみさんと比べてられしまうから、大変ですよね。)
ザズーのパク・ジュンヒョクさん、人形遣いはさすがに上手。歌も順当にこなしていました。この人、「PIPPIN」でピピンの弟の役で拝見したことがあります。当時は、シンバもできそう?なマッチョでしたよ。(ザズーの衣装だと、そんなことはうかがい知れないですけどね。)

その他、記憶に残っていること。

ライオンの雄叫びが、迫力不足気味でした。ムファサも、シンバも。ハイエナに襲われているシンバを救出する時のムファサの「ウォー!!!」も、例のシンバの「ウォー!!!」も、やけに音量が小さいんですが・・。あれはもっと大音量のほうが良いのでは??

「Can you feel the love tonight?」のダンサーは・・、あれはいけません。ド下手。どっかのバレエ団から、客演をお願いするとか出来なかったんでしょうか?このシーンはかなり悲惨でした。このシーンはハンブルグ版のほうが100倍ぐらい上出来です。もともと苦手なシーンなんですが、ハンブルグ版はすんなり見れたんです。おそらく、舞台が広くて高いので、視線が分散するのと、ダンサーが上手だったこと、わりと無機質な感じというか、フォーサイスのバレエを踊る時のような踊り方を選択していたからではないかと思います。

韓国版は、打楽器だけが生演奏で、その他は録音です。で、打楽器は客席前方の左右に陣取っています。ライブ感を出そうということなんでしょうが、なんか打楽器の音だけ浮いちゃう感じで、効果的なんだかそうじゃないんだか微妙でした。バランスがとれないというか・・。どの座席で聞くかによっても違うのかもしれませんけど。
ハンブルグ版は、打楽器だけ前方のボックス席に陣取っていたんですが、これはとても効果的で迫力があってよかったんです。全体的に、ハンブルグ版は音に臨場感があって、とても迫力がありました。シャーロッテ劇場も、へんな音のひずみや反響は無くて、そういう意味では良いのですが、臨場感にはやや欠けました。

この日は、客入りが悪かったです。日曜のマチネなんですけどねえ。
確か、韓国版は4歳から観劇可で、親子観劇室のような設備はなく、かなり小さいお子さんも客席で観劇します。私が見た公演にも、4、5歳と思われるお子さん連れの観客が結構いました。4,5歳~7歳ぐらいまでのお子さんの場合、どうしても仕方のないことではありますが、上演中、かなり大きな声でしゃべっちゃうんですよね。(日本語も聞こえてきました。小さな女の子の声でしたね。)でも、幸運なことに、それほど大騒ぎをするお子さんはいなかったです。ただ、後列の方が(大人、というか、やや高齢層)、やたらと上演中座席に足をぶつけるらしく、ドン、ドンと私の座席を揺らすのには閉口致しました。

ただ、この4歳から観劇可能だが親子観劇室ナシ、というのが、マニア層のリピートを獲得できなかった原因のひとつのような気がするのですが、どうなんでしょう。ブログ検索などで感想を読んでみますと、「劇は面白かったけど、近くの席の子供がずっとしゃべっていて、ぶち壊しだった」とか「子供がぐずって早く帰ろうといい始めて、ご両親が肩身が狭そうに一生懸命なだめていた。ご両親がかわいそうになった。」とか、「作品は気に入ったが、この公演は観客の観劇マナーが悪くて苛立ったから、もう一回見る気はしない。」というような内容を結構目にしました。親子観劇室を作るか、事前に観劇時のマナーを説明する、というような工夫をすれば、だいぶ違ったんじゃないでしょうか。


という感じでした。
いろいろダメ出ししていますが、そう悪くは無い舞台ですから、千秋楽までの期間、もっとお客さんが入るといいですね。マニアに多数回リピートさせるのは厳しいかもしれませんが、初見の観客なら、大きな不満なく見られると思います。営業頑張れ!


 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_15593482.jpg
 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_15595393.jpg

 韓国語版「THE LION KING」(劇団四季)_f0048936_1232396.jpg

by saffy114 | 2007-09-05 16:32 | Korean Musicals