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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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三銃士

「三銃士(3 Musketiere)」。
帝国劇場にて、7月20日のマチネと8月13日のソワレを見ました。

キャストは、
ダルタニアン 井上芳雄
アトス 橋本さとし
アラミス 石井一孝
ポルトス 岸祐二
ミレディ 瀬奈じゅん
リシュリュー枢機卿 山口祐一郎
アンヌ王妃 シルビア・グラブ
コンスタンス 和音美桜
ロシュフォール 吉野圭吾
バッキンガム公爵 伊藤明賢
ルイ13世 今拓哉
役者/ジェームズ 坂元健児



07年のドイツ旅行を計画した際、当時Stuttgartで上演中だったこの作品の宣伝画像を見て、見たいな~と思ったのですが、フライトのスケジュールや接続の関係でハンブルグに行くことにした為、結局この作品は見なかったんですよね。
で、なんとなく心残りだったところに、2009年に韓国で「三銃士」上演!の情報で見に行ったら・・・・これがStuttgartで上演されていたものとは全然違う作品(笑)。三銃士とディカプリオ様の「仮面の男」を足して2で割ったようなストーリーが展開・・。なんとチェコで制作された別バージョンだったという訳です。
・・・というショッキングな体験をしているもので、幕が開いて、主人公らが歌う曲がドイツ語版のCDで聞いた曲だ!!!と、その点に感動(笑)。
とりあえず、チェコ版じゃなくて、それなりに「三銃士」のストーリーの原型をある程度とどめているオランダ版が上演されたということだけで有難く感じられました(笑)。

東宝版、まあ、色々とですね・・・惜しい点というか、残念な点はあったのですが、もう↑上記の一点で、まあいいや、許す、という感じでした(笑)。オランダ・ドイツ版を上演してくれただけでも有難い、と。たぶん独・蘭版はこんな感じだったんだろうな~という気配はなんとなく掴めた(いろいろ脳内変換・消去は必要だが)・・・ような気がしたし。
キャストのみなさんもおおよそ歌えていましたし、上記の「惜しい点」も、なんとなくそうなった・そうした理由が推測できるような気がして(勘違いかもしれませんが)まあ仕方ないのかなあ・・となんか寛容になれました。
主演級の方々がなんだか楽しそうに演じているように見えて、どうせなら仕事は楽しいほうがいいですよね・・・と思ったりして(もちろん、舞台裏でもご努力や苦労はお有りでしょうが)、まあいいかあ~と。

昔、TVで見たことが一度ある歌舞伎の「俳優祭」、ああいう感じの舞台なんだと思えばいいや、とわりと楽しめました。所詮、「三銃士」の「ミュージカル」であって、ソンドハイムものとかラキューザものじゃないわけで、ま~、こんな感じの演出も「現地の観客の嗜好に合わせる」という意味でありなのかな~、と。


舞台装置、ドイツのチケットサイトで見たドイツ版の舞台装置とだいぶ違いました。これがまず残念でした。ドイツ版の宣伝画像で、英仏海峡を船で渡る場面が使われていたのを記憶しているのですが、ああいう感じのセットだといいな~と思っていたのですが・・違いましたね。セットデザイン微妙・・・・・・。剣の柄の部分らしきものが3本にょきっと立っている立方体っぽい装置を、いろいろ動かして船にしたりetcやっていましたが、なんだかなあ。あのそそりたっている剣は微妙だ。
ただ、予算の関係なんだろうか・・・とも思い、まあ仕方ないのかなあと諦観の境地。東宝版、なんというか、色々な組み合わせ方でいろんなシーンのセットに使えるよ!!・・・という感じの抽象的な作りになっていたように見えたので、予算の都合とかいろいろあるのかな~、なんて。値引きチケットも早い段階から販売されていますし、ねえ・・・。


この東宝版の一番の特徴、そして微妙でもある点は、三銃士の世界とはちょっとそぐわぬ小ネタや笑いの取り方をそこここに入れていること、でしょうか。ミレディとロシュフォールが、小学生の喧嘩のような口調で「ば~か!!」と言い合っていたり、とか、ダルタニアンの剣が折れたら、アトスが「短っ!!!」と叫ぶ、とか。
可能であれば、こういうある意味姑息な演出というか笑いの取り方なしで勝負してほしかったとも思いますが、上記のようなセットの問題もありますし、ある程度原作に沿った展開である為にヒロインは悲劇的な末路を辿るしで、ちょっと暗い展開だし、もともとのこの作品の作り・展開自体が荒い(ある意味それがヨーロッパ産作品らしいといえばらしいのですが)・・・というような点を補おうと考えて、ああいう演出にしたのかしら、東宝作品は「劇団東宝」的な側面もあるから、お客さんサービス・リピーターを獲得したいなあ的な意味でああいう笑いの取り方の演出にしたのかなあ~とも思い、まあ色々事情はあるのであろう、三銃士の世界なのに、いきなりそんな笑いの取り方に走っている・・という意味で笑えたし、同じネタでももっと下手な俳優さんがやったら相当イタそうだけど、みなさん上手いからこそそれなりに面白かったんだろうし・・・と、なんとなく寛容になれました。
三銃士役の三人がなんだか楽しそうに演じているように見えたのも良かったのかもしれません。ベテラン勢が楽しそうだとなんかほほえましいですね。三銃士のお三方は歌も上手くて良かったです。
あと、コンスタンス役の和音美桜さん、美しい声で歌も安定していて上手く、清純派系の役が似合いそうなルックス&声ですね!なんだ、歌えて&かわいい人がちゃんといるんじゃない、今度から清純派ヒロイン系の役はこの人に全部ふっちゃえばいいじゃん、と一瞬思いました。まあさすがに全部という訳にはいかない(あまりに集中すると韓ミューであまりにキム・ソヒョンさんばかりにその手の役が集中していて、うわ、また彼女か!?他にもう一人二人清純派系はおらんのか!?と時々思うのと同じような感じになりそうだ)でしょうが、それなりの分量は彼女にふってしまえば観客は安心して舞台を見られる機会が増える気がする・・・。

井上さん、今回は幾つかのナンバーを、いつもの王子様系のきれいな歌い方でなく、地声っぽい歌い方で歌っていました。う~ん、あまりそういう歌い方に慣れていないというか、試行錯誤中なのでしょうか?ちょっと無理がかかっている感じの歌い方になっていました。そういう歌い方でないほうのナンバーは綺麗に歌えていて安心して聞いていられたのですが・・・。井上さん&三銃士のカーテンコール後の挨拶を聞いて、井上さんって頭の回転が速いというか口も達者でいらっしゃるみたいなんで、そういう面を生かした役で見てみたいな~と思いました。石井さんと橋本さんも口が達者そうですよね。
枢機卿の山口さんが、またまた怪演しておりました(笑)。山口さんは楽しいな~。なごむなあ。2幕の、プロテスタントとの戦争の場面、動きや歌い方、妙~に甲高い声のセリフがおかしくて(笑)、たぶん本来はちょっと凄味のある、コワい感じになるはずの演出の場面なんだと思うのですが、山口さんのおかげで、不思議な味わいのシーンに生まれ変わっていたような気がします。あ、お若い頃のままの歌声だ!という部分もあるのですけど、?????という感じの部分も多くて(笑)。でも、いいんです。山口祐一郎さんだから。
いや~、昔は、山口さんがこんな路線に突き進んでいくとは全く想像もしませんでした・・。

あと、坂元健児さん、バッキンガム公のどうやらゲイらしき従者役のときは面白かった。ああいう役、けっこう似合うんですね。ただ、もし坂元さんの背が橋本さんや石井さんぐらいあったら、もうちょっと違う役が廻ってくるのかなあ・・・、なんてちょっと思ったりもしました。それから、坂元さんは今でも体操技は出来るんですか??出来るんだったら、格闘シーンでもっと坂元さんが目立つようなアクロバティックな振付にしちゃえばいいのに。
「役者」役のほうは、もうちょっと明瞭な声で歌う人のほうがこの役には合う気がしました。ちょっと歌詞が聞き取りにくかったもので。

とまあ、こんな感じで、できれば欧州版と同じ装置や演出でやってくれたらよかったんじゃないかな~このキャストなら・・・とは思いましたが、まあ東宝版も三銃士のベテラン三人が面白いし、東宝オリジナルの演出の意図や都合や事情を想像して楽しむという観賞の仕方も出来て、けっこう面白かったです。でも、欧州版を見ていたら、確実にイラっとしそうだな・・・という感じです。私は部分的な画像を見てOSTを聞いたことがあるだけなんで、大丈夫でしたが(笑)。
by saffy114 | 2011-08-25 23:41 | Japanese Musicals