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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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LA CAGE AUX FOLLES<ラ・カージュ オ・フォール~籠の中の道化たち~> (1)

「ラ・カージュ オ・フォール~籠の中の道化たち~(LA CAGE AUX FOLLES)」。
日生劇場にて、12月27日、17時半からの回を見ました。
キャストは、
Georges:鹿賀丈史
Albin:市村正親
Jean-Michel :山崎育三郎
Anne:島谷ひとみ
Edouard Dindon:今井清隆
Mme.Dindon:森公美子
Jacquline:香寿たつき
Jacob:花井京乃助
Francis:日比野啓一
ムッシュ・ルノー:林アキラ 
ルノー夫人:園山晴子 
’Les Cagelles’ 
Chantal:新納慎也, Hannah:真島茂樹,Phaedra:美濃良,Mercedes:大塚雅夫, デルマ:石丸貴紫、オデット:香取新一、モニク:水野栄治、ロシン:富山忠、ニコル:附田政信、クロクロ:佐々木誠、Bitelle:杉山有大, Angelique:加賀谷一肇

演出:山田和也
振付:真島茂樹
Music&Lyrics: Jerry Herman
Book: Harvey Fierstein

日本版は10年ぐらい前に市村さん・細川さんの組み合わせで一度見ています。1幕最後の市村さんのI am what I amがとても素晴らしくて印象的だったなあ・・・。
その後、2005年頃にBWリバイバル版を、今年の元旦にロンドンのメニエール・チョコレートファクトリー版を見ています。この作品、なんだか好きなんですよねえ。
この作品を知らない方でも、劇中で歌われる"I Am What I Am"は Gloria Gaynorバージョンだのリミックス・バージョンだの何だので耳にしたことがあるんじゃないかと思います。


今回の日本版も、良かったです。楽しい舞台ですね。
良い具合に日本風のお笑いの要素を加味・役者さんの持ち味の長所を生かした演出になっていたと思います。2幕のDindon一家訪問以降のドタバタ場面、ジョルジュがジャン=ミシェルをどついたりとか、ジャン=ミシェルがアンヌと間違えてダンドン夫人の胸を触っちゃったりetc、日本的な笑いのセンスの演出になっていました。間が良く、上手くやっていたので、この日本版の演出も面白かったです。

ただ、惜しい点もいくつか。
まず一つ目が、Les Cagellesのダンス場面。BWリバイバル版やメニエール・チョコレートファクトリー版と比べると、なので、これらの他のプロダクションを見ていなければ、気にならないのかもしれませんが・・。
振付が、BWリバイバルのJerry Mitchellやロンドン版のLynne Pageのそれと比べると、やや旧態依然というか、垢抜け無い感じだった。もう少し、ダンスがダイナミックだったら、uniqueだったら,さらに良かったと思います。これは、衣装にも言えるかな。おそらく、オリジナル版に準拠した初演の雰囲気を残しているんだろうなあと推測します。今では、日本以外ではオリジナルの雰囲気を残した演出はされていないので、初演の雰囲気がうかがえて興味深いですし、悪くはないのですが、ちょっと古めかしいかなあ・・・とも思います。微妙にup to dateしてもいいのでは?
二点目は、出演者の殆どが日本のミュージカルの底力(?)を感じさせる、安定した歌なり芝居なりを見せていた中、プロフェッショナルの公演として、チケット代S席12600円をとる舞台では到底許容できないような技術水準のままで出演なさっていた俳優さんがいらっしゃったこと、です。まあ、これは私がそう思っただけなので、そう思わない方もいらっしゃるのでしょうが、私はこれは酷いなあと思いました。時々、こういう出演者がぽ~んと投入されることがあるのが、日本の舞台独特の恐ろしさ、かな・・・。いろいろ大人の事情があるのだろうなあ、とは思いますけども・・。

キャストについて。
アルバン役の市村さん、さすがですね(拍手!)。昨年見たDouglas Hodgeのアルバンも素晴らしかったですが、日本のアルバンも素晴らしかったです。
市村さんのZAZAは、若くはなくても、まだまだ3枚目・自虐路線に完全転向というより、華やかで美しいスターのオーラがまだまだ存在している感じ。
A Little More Mascaraでだんだんアルバンが華やかなZAZAに変身していく場面、良かったです。
英語圏のアルバンたちは、前半のDrama Queenぶりが強烈でしたが、市村さんアルバンは「すねている」という感じ、ですね。
そして、今回も1幕の最後のI am what I am、素晴らしかったです。ただ、記憶の中で美化されているだけかもしれませんが、10年前の時のほうがぐっとダイレクトに&鋭角に胸に迫るものがあったような気もします。

ジョルジュ役の鹿賀さんも、ここ数年私が見た彼の舞台のなかでは、今回が一番良かった。まあ、やはり独特の唸るような節回しや、なんだか滑舌が悪いような・・・という部分も目立ちましたが、それを超える何かが今回はあって、いつもよりは気になりませんでした。アルバンに対する思いやりや温かい感情みたいなものがにじみ出る感じ、というか。歌も、Look Over Thereなど今回はあまり癖が出ずに良い声で歌えている部分が多めで、最近の鹿賀さんの舞台の中では一番きれいに歌えていたと思います。2幕のドタバタ場面の芝居も間が良くて面白かった。

~続く~
by saffy114 | 2009-01-02 00:19 | Japanese Musicals