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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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『THE BEAUTY QUEEN OF LEENANE』

『THE BEAUTY QUEEN OF LEENANE(ビューティ・クイーン・オブ・リナーン)』。PARCO劇場にて、12月15日、19時からの公演を見ました。
キャストは、
モーリーン・フォランMaureen Folan…大竹しのぶ
マグ・フォランMag Folan…白石加代子
パト・ドゥーリーPato Dooley…田中哲司
レイ・ドゥーリーRay Dooley…長塚圭史

作:Martin McDonagh(マーティン・マクドナー)
訳:目黒 条
演出:長塚圭史

良かったです。なぜか、マーティン・マクドナー作品は日本では長塚圭史さんが演出することになっているらしい(?)ですが、今回は「マーティン・マクドナー×長塚圭史 第三弾」だそうです。第二弾の「ウィー・トーマス(The Lieutenant of Inishmore)」の舞台はあまり感心しなかったのですが、第三弾は良かった。作品の内容というか素材が「家族」というどこの国でも共通のものを扱っているのでウィー・トーマスよりも翻訳上演になじみやすいということと、出演俳優さんの技量のおかげ、でしょうね。
この作品、TONY賞の授賞式を見て興味を持ちまして、読もう読もうと思ったままで結局ず~っと購入せず、日本版のウィー・トーマスを見た頃に、やっと戯曲を読みました。私は、Martin McDonagh作品は、「The Pillowman」、「The Lieutenant of Inishmore」、「THE BEAUTY QUEEN OF LEENANE」の3作しか読んでいないのですが、この3作品のなかではTHE BEAUTY QUEEN ・・がインパクト最強(凶?)でした。
怖い話ですよね、これ。ピローマンも怖くて悲しい話だけど、BEAUTY QUEENはそれ以上にそらおそろしいことこのうえなし。最後のほう、Act2 scene3のあたりは、読みながら、ぎょえ~っ、こんな展開なの!?怖~っ・・と驚愕しました。が、作品としてはかなり気に入りました。構造や語り口がピローマンやウィー・トーマスよりもシンプル?なぶん、BEAUTY QUEEN・・が一番ダイレクトに観客に訴える力があるような気がしまして。
大竹しのぶさんと白石加代子さん主演で上演と聞きまして、お、これなら日本語版も期待できるかも、と思っていましたが、期待にたがわず、ブラックな笑いと恐怖とを提供してくれました。

モーリーン役の大竹しのぶさん、やっぱり上手ですね。それから、黒いドレス姿とスリップ姿がきれいで感心。ただ、あの黒のドレス、アイルランドのド田舎で40ポンドで購入したにしちゃ洗練されすぎている?
マグ役の白石加代子さん、 いや~、このお方も良いですね。manipulativeという感じの老母で小憎らしいキャラなのですが、歩き方というか、腰が曲がったまま、ささささっと動くところなど、動きはややユーモラスな部分もあった。

レイの来訪を隠したマグに対してモーリーンがカマをかけるあたりや、その報復で塊が溶けきっていないコンプランを飲ませるあたりとか、マグとモーリーンのバトルが、英語版の戯曲のイメージに近い感じで日本語版でも展開されていたので、1幕の第三場までは、期待通り、もしくはそれ以上に良かったです。
1幕の第4場は、スリップでモーリーンが登場して少し経過したあたり、"it does turn me on,it does."というセリフのあたりの大竹さんの演技・話し方が、ちょっとSweeney Toddのロベッツ夫人のときの演技・話し方と似ていたのがちょっと惜しかったかな。その後の精神病院入院歴を暴露されてマグにとびかかるあたりからは良かった。
2幕は・・・。期待通り、怖かったですね。2幕の4場の最後、英語版だと、red chunk of skull hangs from a string of skin at the side of her headとなっているんですが、私の座席からだと、床に倒れたマグの頭がこうなっているように見えなかったんですが・・。どうだったんでしょう。舞台に近い席からだと確認できたんでしょうが。

パト・ドゥーリー役の田中哲司さん、初めて拝見する俳優さん(だと思う)だったのですが、なかなか良かったです。2幕の最初の独白場面など、演じ方が適切だったように思った。
レイ・ドゥーリー役の長塚圭史さん、 ちょっと20歳そこそこには見えなかったのと、「演じている」感じが強かったのが惜しいですが、元々この役を演じるはずだった黒田勇樹さんが降板とのことでの代打だったようなので、仕方ないのかな。「スウィングボール」のくだりは結構笑えた。

この舞台、シノプシス、特にAct2 scene3以降の展開を知らずに見に行った観客は、どう感じたのか、ちょっと聞いてみたいです。びっくりしませんでした?

まあ、なんともやりきれないストーリーなのですが、面白い(←ちょっと語弊がありますが・・)作品だと思います。上手に日本語上演してくれて、嬉しかったです。

あ~、Pillowman、再演してくれないかなあ。日本版、見逃したので・・。今年の春の韓国版でもいいから、見に行っておけばよかったかなあ・・。
違う作者の作品ですけれど、「doubt」も日本版で上演して欲しいです。お隣の韓国では上演済みです。日本でもぜひ!
by saffy114 | 2007-12-17 22:49 | 国内ストレートプレイ