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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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빌리 엘리어트(Billy Elliot :KOREAN VERSION) 1

韓国版「Billy Elliot(빌리 엘리어트)」。
9月19日、ソウルのLG아트센터にて、19時半からの公演を見ました。
빌리 엘리어트(Billy Elliot :KOREAN VERSION) 1_f0048936_02486.jpg

キャストは、
Billy:이지명<イ・ジミョン>
Mrs.Wilkinson:정영주<チョン・ヨンジュ>
Dad:조원희<チョ・ウォンヒ>
Grandma:이주실<イ・ジュシル>
Tony: 임재현 <イム・ジェヒョン>
George:함건수<ハム・ゴンス>
Michael:김범준<キム・ボムジュン>
Debbie:박예은<パク・イェウン>
Mr. Braithwaite:장원령<チャン・ウォンリョン>
Mom:임문희<イム・ムンヒ>
Older Billy:신현지<シン・ヒョンジ>

スタッフ
Associate Director BT McNICHOLL
Associate Choreographer TOM HODGSON
Resident Director 황재헌
Resident Choreographer 정헌재
Resident Music Supervisor 이나영


Billy Elliot,おそらく英語圏以外の上演は韓国版が初めてなのではないでしょうか?
私は、この作品はロンドンで2005年の夏ごろにLiam Mower君主演で見たのが初めてで、その後2007年にロンドンでアフリカ系のLayton Williams君、2009年にBWでTommy Batchelor君で見ているので、今回は4人目のBillyです。
米国版上演と聞いた時でさえ、これってイギリス以外では上手くいくのかなあ??らしさが薄れちゃうんじゃないかなあ?と思いましたが(蓋を開けてみたら大丈夫でしたけども)、アジアでの上演となると余計に上手くいくのかなあ、大丈夫か??と心配だったんです。韓国の舞台、歌は素晴らしいのですが、ダンス、特にバレエ系の振付になると・・・かなり迷走しちゃっている場合が多いように思うので・・・。
ですが、なんと驚いたことに!この韓国版、とてもいい線いってます.
まあ、翻訳上演である故の限界はやはり歴然として存在しているといえば存在しています。ロンドン版だと、イギリス的4文字言葉の乱舞、独特のアクセントなどが、らしさを醸し出していますが、そのへんはやはりこの翻訳上演ではかなり失われています。でも、韓国語はバラエティに富む4文字言葉が存在する言語である(ですよね?)おかげで、4文字言葉が多用される会話・・・という雰囲気はそれなりに出てました(これ、もし日本語公演があるとすると一番苦労する点になりそうですよね)。1幕のボクシング教室でちっちゃい男の子が毒づきながら(?)腕立て伏せ(でしたよね?)する場面では、かわいらしい小さい男の子が「씨~~△!」と連呼していましたよ(笑)。
韓国版では、方言はどうするんだろう??と思っていたのですが、韓国版では、ビリーをはじめ町の人々は方言では話していなかったようです。私が聞き取り可能だったので(笑)、標準語だったんだと思います。なので、2幕、ビリーと父さんがロイヤルバレエスクールでのオーディションに行く場面の、方言・階級による話し方の違いを利用した笑わせる演出の部分は、英語版とやり方がちょっと違っていたと思う。

でも、上記のような細かいことをまあいいかあ、と思わせてしまうぐらい、子役さんたちが大健闘していました。主役のビリー役の子をはじめ、マイケル役の子、デビー役の子、バレエ教室の女の子たち(特にトレイシー役の子!)、上手かったです。これだけやれるとは思わなかった。お子ちゃん達、甘く見てゴメン。大人の俳優さんたちも好演でしたが、やはりどちらかというと印象的なのは子役ちゃんたち、かな。

まず、Billy役の이지명イ・ジミョン君。
빌리 엘리어트(Billy Elliot :KOREAN VERSION) 1_f0048936_22382971.jpg

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13歳だそうです。以前見た記者会見やテグミュージカルフェスティバルの画像などですと、しっかりした受け答えが印象的な利発そうな雰囲気の人なんで、炭鉱の町の普通の子というより優等生君っぽいなあという感じを受けたのですが、素で話している画像で受けた印象に比べると、実際の舞台では優等生っぽさの度合いが下がってそれなりに平均的な子に見えました。
この人、ダンス・歌・演技と三拍子揃って上手かったです(まあ、この役にキャスティングされる人はみなそうでしょうけど)。特に2幕の、ロイヤルバレエのオーディション(自分が予想していたような、ダンスを見せる審査ではなく、基本ポーズしか見てもらえなかったので動揺)→他の子と喧嘩→ふてくされる→electricityの流れの演技が特筆ものかも。非常に印象的でした。感心。今まで見た英米韓の4人のビリーの中では、この場面の歌・芝居に関しては지명君がダントツに上手かった。まあ13歳とある程度大人に近づいた年代であることも演技に関しては強みなのかもしれませんが。
ふてくされたまま帰ろうとしたところで、審査員から「踊っているとき、どんな気持ちになるか話してくれますか?」という質問を投げかけられ、この質問に関しては彼の中の何かをゆさぶられた様子で返答し始める・・という感じでelectricityが始まりますが、この時の表情の変化,目の表情の変化などが実に見事でした。思わず、お、この子役タダモノじゃないかも、と身を乗り出して見てしまう感じでしたよ。electricityは、一刀入魂!!という感じで、特にすんごい気合いと思い入れが観客にも伝わってたような気がします。ちゃんと「伝わる」歌になってました。まだ中一ぐらいの子なのにね。すげ~。
テグミュージカルフェスティバルの画像で、この子が司会者の質問に対して、electricityの歌詞を引用して見事な返答をしているようなのですが、まあこういうのは事前に質問がわかっていて大人と相談して答えを準備していたのかもしれないしね~と思っていたのですが、尋常ならぬ気合いが伝わってくるelectricityを見て、あ、あの子、ある程度自分の言葉で答えたのかもしれんなあ、と感じました。
ジミョン君、歌とセリフが明瞭で聞き取り易かった気がします。外国人観客には有難い!
ダンスも上手かった。ただ、バレエ的動作に関しては、ちゃんと役にふさわしいレベルまでは出来てはいるものの,それ以上とは言えないかな~という部分もありました。でも一方、はっとするほど非常に綺麗なポーズ・動きを見せる部分もあります。アティテュードはとても綺麗でした。回転系の動作も綺麗です。なので、「原石」っぽさというか、まだ訓練されきってないけどスジがいい・・という感じが出ていたように思う。こういうBillyもアリですね。
この子は、運動神経が凄くいいというか、体操系の技が得意な人なのかな?electricity、体操技というかバック転やとんぼ返りの分量が英米版よりかなり多かった気がします。振付、国と出演者によって変えているのかしら??ダイナミックな振付になってました。最後のほうのグラン・フェッテも綺麗にきめてました。

タップ系の振付もなかなか上手かったです。expressing yourself、生き生きと踊ってました。この子は、こういう系統のが一番得意なのかな?Angry danceもなかなか迫力ありましたよ。タップ動作メインの中盤は平均的な出来だったかもしれませんが、機動隊の盾が登場して、それにぶつかりながら踊る後半は、音楽の盛り上がりに上手く乗っている感じで、かなり迫力出てました。

韓国版の演出自体がそうなのかもしれませんが、지명君ビリーの"Dear Billy (Mum's Letter)"場面の演じ方は英米版と趣きがちょっと違った。英米版だと、ビリー君はもちろん今でもお母さんを懐かしく思い、悲しんでいるのだろうけども、それをあまり表に出さないというか、この場面ではわりと淡々とした様子で演じてウィルキンスン先生の、「あなたのママ、特別な人だったに違いないわね。」というような言葉に対し、淡々とNo,she is just me mom...とか返すので、この最後のセリフでは観客がちょっと笑ってた記憶があります。一方、지명君ビリーは、この場面はお母さんを恋しく思ってる、失って悲しい、という感じを前面に出して演じている印象でした。確か、手紙を読み上げる部分のビリーのパートの最後、「私のビリー。」という歌詞のあたりは、ちょっと泣いている感じの声で歌っていたように思います。英米版以上に、この場面は涙腺を刺激されやすいかも。客席のあちこちから、ちょっと啜りあげる音が聞こえてきていました。
笑いをとる場面の間なども、この人は上手かったと思います。Debbieちゃんに「そうしたかったら、私の×××を見せてあげるけど。」と言われ、ビリー君はしばらく「・・・・。」と固まった後、参ったな~と言う感じで頭の後ろをかきながら「ううん。別にいいよ・・・。」みたいな返事をしていたと思いますが、この場面の間・表情などもよかった。
2幕、バレエ学校から合否の手紙が来た場面で、ビリーが宛名に書いてあるesquireをどういう訳かis Queerと読み間違える場面のボケ方とかも上手かったと思う。韓国版では、これ、何て言ってたんでしょうか?ビリーが「씨 ×」と誤読して、お父さんがあきれて訂正して怒鳴ってましたが、その正解のほうが聞き取れず。esquireに該当するほうの単語は何だったのかな?

こんな感じで、この子のビリーは期待以上の出来でした。
Angry Danceが終わると前方席に陣取っているお姉さん観客たちがスタンディングオベーションしてました。これはまあ1幕の最後だからそういうこともあるかなという感じですが、2幕のelectricityの後でも、スタンディングオベーションする観客が前方区域中心に出現しました。劇中でスタンディングオベーションが出るって、韓国でもなかなか無いですよね。拍手でショーストップっていうのはあっても・・・。私は今まで、劇中でスタンディングオベーションが起きるのを目撃したのはBWでパティ・ルポン様のGypsyのRose's Turnのときだけでした(笑)。ジミョン君、お姉さま観客たちの心をとらえたようですね!?

~続く~

빌리 엘리어트(Billy Elliot :KOREAN VERSION) 1_f0048936_22562177.jpg

by saffy114 | 2010-09-23 22:39 | Korean Musicals