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ミュージカル(国内、ブロードウェイ、ロンドン、)海外ドラマ、映画について。最近、韓国ミュージカルにも目覚めました。


by saffy114
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스프링 어웨이크닝< Spring Awakening>(4)

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Melchiorの김무열キム・ムヨルさん。彼も、最初キャスティング情報を聞いた時には年齢がちょっと高いんじゃないかな~というのとマッチョすぎないかな?というのが気になったのですが、女子に人気!という設定にはハマるだろうし(笑)、制作発表会の画像だとかなり良い感じだったんで、実は一番期待してました。ただ、高音や裏声のナンバーがどうなのかはちょっと心配でしたけども。この人が高音域やファルセットを使って歌っているのは今まで見たことがなかったので。まあ、でも、とりあえず무열メルキーはかなりいけるのではないか(eye candy的な意味でも)と思っていたのですが・・・。そうですね、良かったのはまあ良かったのですが、かなり予想とは違う雰囲気のメルキーでした。

なにしろ、Tシャツその他、体のラインが見える衣装だと、マッチョだな~、絶対バーベルとかもちあげてるか、激しく腕立て伏せとかしてそうだな~という印象のお方なんで、見た目体育会系Melchior(?!)になっちゃうのかなあ、とも若干危惧していたのですが、あまり体のラインが出ない衣装のおかげでもあるのでしょうが、ずいぶん鍛えちゃってるMelchiorだな~、なんてことにはならず、逆にちょっと'reserved'っていう形容詞が頭に浮かぶ雰囲気の、「優等生」っぽいMelchiorに見えました(よく見ると、なんかやけに胸板厚いけど)。
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で、ムヨルさん、上手いのは上手かったです。やはり、それなりにキャリアがある人だからでしょうが、ちょっとした表情など、さすが上手です。こんな感じです。
totally fuckedのblah balh balh....の部分のシニカルな感じの表情とか、印象に残りました。

ですが、意外だったのが、過去に見た舞台で出まくっていた独特の色気というか引力がこの舞台ではさほど感じられなかったこと。いや、相変わらずカッコいいんですけど・・。この人、すごくハンサムだとかそういう訳じゃないのに、過去に拝見した舞台だと、やけに色気があるというかすごく惹きつけるものがあって非常に魅力的だったんですよね。言語化し難い引力みたいなものを発散しているというか。ただ、これがカーテンコールなどになると、その引力・色気の度合いがささ~っとトーンダウンしているように見えて、おお、ある意味なかなか役者だのうと思っていたのですが、今回の舞台は、どっちかというと、過去に見た舞台のカーテンコールの時のちょっと一歩ひいた感じのムヨル君を連想させる雰囲気でした。
故意にそうしたのか?そういうわけじゃないけどこうなっていたのか?どっちなのかな~。


Jonathan Groff君や柿澤君とはちょっと違った役作りだったみたい。「優等生」であるということに重点をおいたのか?Groff君や柿澤君は、反抗児っぽいというか、体制への反撥・怒りみたいなものが前面に押し出されている感じでしたが、ムヨル君はもうちょっと抑えた静かな怒りという感じ、かな。ちょっと抑制した感じで、比較的内省的なキャラクターに見えました。
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とりようによっては、特に1幕の前半の“All That's Known”などはパワー不足ともとれる感じ。Groff君の場合ですと、You watch me,just watch me~って歌う時にも唾液の飛沫飛んでましたが(笑)、무열君の나를봐 ~지켜봐~(ですよね?)はそこまで激しくなかったです。

どうなんでしょう。キャスティングした側はムヨルメルキーに女性観客がノックアウトされてリピーター化することを期待しているんじゃないかな(笑)なんて邪推しているんですが。Thrill meの二匹目のドジョウ!みたいな感じで(あ、邪推ですから。お気にせず)。その場合、どっちかというと柿澤君やグロフィの演じ方の系統のほうが女性にアピールするような気がします。
1幕前半は、あれ~、やっぱり「髪の毛くるくる」をやらないとMelchior役は調子が出ないのかしら?なんて妙な考えが頭をよぎったりしましたが、ハンター君とかはくるくるをやっていなかったみたいですもんね。関係ないよな(笑)。Touch meの最後でメルキーが上着を脱ぐんですが、この場面は、いつものムヨル君っぽい色気がちょっと見えたんで、ムヨル君の場合は、なんだろうな、メルキーだけ衣装のデザインを変えて薄着にするとか、そういう反則技はどうだ?とか1幕の途中までは勝手にチケット販売増進計画を考えたりしてしまいました。

무열Melchiorで特に印象に残ったのはThe Mirror-Blue Nightと1幕の最後の例の部分、そして墓場でMoritzとWendlaの亡霊の手を握り締めて歌う場面、かな。
The Mirror-Blue Night、もちろん振付自体はBW・日本と同じなのですが、印象がムヨル君バージョンはかなり違った。
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무열君版は、より「苦悩」の印象が強かったです。かなり力を入れた踊り方をしているんですよね。板が上がるところで、伸ばした両腕を挙げていくところとか、腕がぶるぶる震えるぐらい力をいれてやっていた。その後の顔や体を撫でるような動作とか上半身を回旋させるような動作も印象的だった。ちょっと独特なんで、評価が分かれそうですが、私は무열君の踊り方は気に入った。ナンバーの歌詞を聞かなくても、この子なんかすっごい悩んでるというか苦しんでそう~、と見てとれる感じだったんで。

ちなみに、The Mirror-Blue Nightの歌詞の一部分が韓国の記事に出てました。こんな感じです。

어딘가 내 몸을 숨길 수 있는 곳 どこか僕の身体を隠すことができる場所
이젠 어른도 아이도 아닌 몸 もう大人も子供でもない身体
내 손을 잡는 차가운 영혼들 僕の手を掴む冷たい霊魂たち
대체 어딜까 내가 가야 할 곳   一体どこだろうか 僕が行かねばならない場所
공포에 떠는 눈            恐怖に震える目
움츠린 어깨             すくめた肩
차가운 심장             冷たい心臓
한 순간 사라져           一瞬にして消え
불 켜는 순간에 다 녹아내려   灯を燈す瞬間 全て溶け出す
슬픈 눈동자도 내 맘 속으로   悲しい瞳も 私の心の中に(←「に」じゃなくて「から」、なのかも?)

                     
ですって。訳は間違ってる可能性大きいですから参考程度に。
四季版は、この部分は「大人と子供のはざまで 身も心も引き裂かれて 後戻りはもうできない 安らぎが狂いだした/怯えているその心 落着きをとりもどせ 青い夜をかけていき 苦しい心 ほどけていく」だったと思います。
このナンバーは日本版もそう悪くなかったけれど、韓国版は詩っぽい感じや、英語版で使われた象徴的なモチーフも一部保たれていますね。この部分の前の、BOYSが歌う部分で「唇」「まなざし」とか「裸の天使」って言ってたような気がして、あ、naked blue angelに相当する単語が残ってるなと思った記憶もありますし。あと、最後の部分では「誰が・・・・・(←聞き取れず)か?疲れた魂を」みたいなことを言ってた気がして、あ~There's no one to see who can see to my soulに相当する部分が残ってるみたいだなあと思いました。
語数や音の構造の関係で、やはり日本語のほうが歌詞の翻訳は難しいんだろうなあ・・・。


墓場の場面、最後MoritzとWendlaの手をぐっと自分の胸にひきよせて握り締めて歌うところ、これは非常に良かったです。印象的でした。この場面に関しては、彼の発達した腕の筋肉が与える力強い印象が、意外と上手く作用していたような気がします。
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あと、1幕の最後の例の場面、というか例の場面にいたる前の部分、これもちょっと日米のメルキーとテイストが若干違ったかな。ムヨルメルキーは、かなり精神的に動揺しているように見えますね。ぎりぎりの状態というか。日米のメルキーも動揺して混乱していますが、韓メルキーはさらに一歩奥、人格の根幹をなす部分までが揺さぶられて激しく動揺しちゃった感じ。
で、1幕の最後の場面に至るまでが自然というか、そうせざるを得なかった'衝動'・切迫感みたいなものが上手く出せていたと思う。
時々ちょっとしたところが妙にリアルだったような気がします。最初の不意打ちキスのときの動き方とか。
こういうシチュエーションって、傍から見るとけっこう不格好だったり、不様だったリすることもあると思うのですが、ムヨル君は不様に見えることを恐れていない感じの演じ方だったように思います。
また、セリフのトーンに、かなり切迫感があって、本気で相手を求めているっていうか求めざるを得ない、そうしないとどうにかなっちゃう、みたいな印象。な~んとなく日米韓の中では、個人的にはこの場面の流れっていうかメルキーの行動・衝動はムヨル版が一番自然に納得できる感じでした。

歌に関してですが、무열Melchior、良かったですよ。All that's known、bitch of living,Totally fucked 、Touch meなどは声に合っていてとても良かったと思います。
ただ、メルキー役はleft behindやThe Mirror-Blue Nightがあるので、本来はムヨル君よりもう少し高めの声域の人向きの役なんだろうと思います。その点、四季の柿澤君は声の質とか声域、すごく合ってますよね。left behindの後半のファルセットで歌う部分は、グロフィや柿澤君と比べるとムヨル君はちょっと弱いです。The Mirror-Blue Nightは、무열君は声量を大幅に上げることで高音域に対処していました。ちょっと頑張って高音を歌っている感じなのが、歌の内容というかこの場面でのメルキーの苦しい心理状態とちょうどシンクロして、これは意外とよかったのかも。



~続く~
by saffy114 | 2009-07-16 23:08 | Korean Musicals